第25回日本脳腫瘍の外科学会

ご挨拶

廣瀬雄一

第25回 日本脳腫瘍の外科学会 会長

藤田医科大学 脳神経外科学

廣瀬 雄一

この度、第25回 日本脳腫瘍の外科学会を2020年9月11日(金)、9月12日(土)の2日間、名古屋コンベンションホールにおいて開催させて頂きます。

日本脳腫瘍の外科学会は、脳腫瘍の外科に関するあらゆる分野の進歩を図り、相互の知識の交流を行うことを目的に、設立されました。その際に1年ごとの開催と決められ、今回で25回目の開催となります。学会設立の中心メンバーである神野哲夫先生は当教室の初代教授であり、四半世紀にわたって発展してきた同学会を主催させて頂くことは大変名誉なことと考えております。

脳腫瘍には悪性並びに良性脳腫瘍がありますが、いずれの脳腫瘍におきましても、まず外科的治療が行われ、その後組織型に応じて化学療法や放射線療法補助療法として行われます。本学会の一番の討議事項は脳腫瘍に対する外科的治療方法の評価とそれに基づいた集学的治療の最適化です。現在外科的治療に非侵襲性が求められる一方、外科的摘出が最大の腫瘍容積縮小効果が望める方法であることから、いかに侵襲を減らし、患者さんのADLや予後の改善を両立させることができるかといった方法を模索することに主眼が置かれております。ただし、「侵襲を減らす」ことが単に皮切や開頭を小さくすることと同義になっては外科手術の本来の意味が失われかねないと考え、「侵襲」の意味を再考するために本学会のテーマを「『侵襲性』とは何か」としました。現在の治療の現状を討議することで、今後の治療方法の進歩に大きな影響を与えられると考えております。

なお、本会につきましては通常開催を考えておりましたが、昨今の新型コロナウイルス感染症のさらなる感染拡大が懸念される情勢より、会場での密を避ける方策が必要なことに加えて、来場困難な先生方がいらっしゃること、またご不安をお持ちの先生方もいらっしゃると考え、開催方法を再検討致しました。その結果、会場での開催に加え、会期である9月11日(金)・12日(土)にライブ中継配信と会期終了後に一定期間オンデマンド配信を行う方式をとることにしました。慣れない形式での学会にはなりますが、いかなる形式になっても皆様のお役に立つ情報を発信できるよう準備致しますので何卒宜しくご理解を賜りますようお願い申し上げます。

また、それに伴い海外から脳腫瘍手術治療の権威をお招きする計画は改め、招待講演・教育講演は国内の先生にお願いするよう変更致しました。当初考えておりました海外招待演者の先生方は皆様豊富な臨床経験と研究業績をお持ちですので、残念なところではありますが、代わって講演をお引き受けくださった先生方は、感染症蔓延状況下での手術治療のあり方や、新たな外科領域へのロボット手術の導入など、本会員の皆様にも興味を持ってお聴きいただける内容の講演をしてくださる予定です。また、創傷管理、神経生化学、神経解剖についての講演も予定しておりますので、お楽しみにしていただければ幸いであります。また、例年多数のご参加がある教育セミナーに関しても、国内の第一人者の先生方に講師をお願いしており、脳腫瘍手術に関する幅広い知識をご教授頂きます。

学会形式の変更はありますが、限られた状況の中でも従来のような活発なご討議を期待申し上げるとともに、学会全体を通して皆様にご満足頂けますよう鋭意準備を進めております。

可能な限りではありますが多くの皆様に名古屋でお会いできること、および離れた地にいらっしゃる皆様とも交流できることを楽しみにしております。